高齢者の「歩くこと」を支える仕事

介護の大切な仕事の一つ、歩行介助について

状況に合わせて適切な介助を!歩行介助は6種類

歩行介助は、介護を受ける高齢者の体の状態に合わせて、適切な方法を選ぶ必要があります。歩行介助は、主に次の6つの種類に分けることができます。

1つ目は、見守り歩行介助です。杖を使わずに自力で歩けるものの、歩行に自信がない高齢者に対して行います。手を添えるなど体を支えずに、安全に歩行できるように見守る介助です。
2つ目は、付き添い歩行介助です。見守りでは転倒する危険が高い場合に、お年寄りに寄り添って一緒に歩きます。寄り添っている側の手を腰から腋に回して体を支え、反対側の手で相手の手を軽く握って歩きます。
3つ目は、手引き歩行介助です。向かい合って立ち、両手をとって歩きます。介助者は後ろ向きに歩くことになります。室内での移動など、短距離の歩行の際に行われるのが一般的です。
4つ目は、階段の上り下りする際の歩行介助です。階段を安全に上り下りできるように介助します。階段は転倒リスクが高いので、特に注意が必要です。
5つ目は、杖を使って歩く場合の歩行介助です。外出など、比較的長距離を歩く際に、杖を使っての介助がおすすめです。
6つ目は、補助器具を使う際の歩行介助です。上半身を支える補助器具を使う方への介助です。

どのような種類の介助でも、相手のペースに合わせて、焦らずにゆっくりと歩くことが大切です。「歩くのが怖い」「体が痛む」「足がなかなか前へ出ない」など、歩行時のお年寄りは緊張しています。そのつらい気持ちを理解し、呼吸を合わせて「イチ、ニ、イチ、ニ」と声をかけながら、同じペースで進むことが大切です。

歩行介助の目的や重要性とは?

介護の仕事の中でも、歩行介助は日常的なルーティンワークの一つです。毎日の歩行介助を安全、適切に行うために、歩行介助の目的や役割を正しく理解しておきましょう。

歩行介助とは歩行が困難な高齢者が、安全に歩けるようにサポートすることをいいます。年齢を重ねると足腰が衰えますし、腰痛、膝痛、疾患やケガの後遺症など、さまざまな事情で歩くのが困難な方が増えます。
歩くときに転ぶなどの事故を起こさないないように、安全に歩行できるよう補助するのが歩行介助です。
また、歩行介助で安全をサポートすることによって、筋肉の衰えを防ぐこともできます。歩くことによって筋肉や骨に負荷が掛かりますから、筋力・骨を鍛えることができます。寝たきり防止効果が得られるのが、歩行介助の大きなメリットです。
また、歩くことで、行動範囲も広がります。外出して人と接する機会が増え、社会から孤立するリスクを防げるのもメリットです。人と接する機会が減ると気持ちが落ち込み、うつ病などのリスクが高まると考えられています。
さらには、歩いて体を動かすことが運動機会を増やすことにもつながり、生活習慣病のリスクの軽減やストレスの解消などにも効果があることがよく知られています。近年の研究では、認知症予防にも深い関わりがあることも分かってきました。

高齢者が自力で歩く力を養うことは、本人の健康や生き生きとした暮らしを維持するためにとても重要なのです。その歩く力を助ける重要な役割を担うのが歩行介助です。歩行介助の基本的なことから説明されたこちらのサイトも読むと、さらに知識が深まるでしょう。